光触媒の力

光をエネルギーとする触媒

植物の光合成と同じ原理

光触媒とは、商品名ではありません。光をエネルギーとして働く触媒のことです。光触媒の原理は、自然界でも多々見られます。その代表が植物の葉緑素による光合成です。二酸化炭素と水に光を当てても光合成は起きません。葉緑素という光触媒があることで化学反応が起こり、二酸化炭素と水から、酸素とデンプンを生成します。つまり光触媒とは、光のエネルギーによって働く触媒です。

抗菌と殺菌

抗菌とは「細菌」の「増殖を抑制」する性質や機能のことです。

抗菌製品によくある誤解と正しい情報

×抗菌製品は洗濯や掃除をしなくても清潔に保たれる
○抗菌製品だからといって細菌が増殖しないというわけではありません。表面が汚れてくればそれを餌に細菌が増殖しやすい環境になります。
×乳幼児にこそ抗菌加工製品を使うべき
○抗菌剤として一般的なものに銀や有機系の抗菌剤があります。その仕組みは、銀イオンなどが溶け出すことで抗菌効果を発揮します。しかし、それらは人や地球にとって有害な重金属や化学物質です。ある大学教授は「乳幼児にこそ抗菌加工製品を使うのはさけるべきでしょう」とのべています。また、ある抗菌基準では24ヶ月未満の乳幼児が使う繊維製品への抗菌加工を認めていません。

光触媒は抗菌成分が全く溶け出さず、人体や環境にやさしい次世代の抗菌剤です。

ウイルス分解のメカニズム

 

 

新型光触媒の分解量

これまでの可視光で働く光触媒とは異なり、高価な貴金属や希少金属などを使用する代わりに、酸化チタン、アパタイト、鉄という安価かつ資源的に豊富で安全な物質を常温でかつ低コストの湿式法で複合化することにより、可視光で働く経済的な光触媒を開発した。

この新型光触媒は、図1に示すように、揮発性有機化合物(VOC)の一種であるアセトアルデヒドの分解性能が、可視光応答化していない従来型光触媒に比べ、蛍光灯の光に対して5.9倍向上した。しかも、可視光だけではなく、紫外線に対する分解性能も大きく向上した。

図1. 白色蛍光灯による従来型光触媒と今回開発の新型光触媒によるアセトアルデヒドの分解量

また、アセトアルデヒドが完全に酸化分解されて二酸化炭素と水になっていることが確認された。

図2. 白色蛍光灯による新型光触媒によるアセトアルデヒドの完全酸化

(光照射時間の経過とともに、アセトアルデヒド量が減少、二酸化炭素が増加している)

通常、光触媒は繊維やプラスティックなどの有機系基材に使用すると基材自体を分解してしまうため、これまで適用が難しかった。一方、新型光触媒は表面が光触媒活性をもたないアパタイトで部分的に覆われているため、有機系基材の分解が抑えられ、繊維やプラスティック、紙などにも適用可能である。実際に、新型光触媒を樹脂に混ぜ、カーボンアークランプ照射による樹脂の耐久性(劣化)試験を行った。その結果、表1に示すように、従来型光触媒を混ぜた場合に比べ、樹脂の重量減少量は小さく、樹脂劣化が5分の1以下に抑えられた。

表1. 光触媒を混ぜた樹脂の耐久性試験

  従来型光触媒 新型光触媒
80時間後の重量減少率 33.3% 6.5%

 

アパタイトは、細菌や悪臭、NOxなどを吸着するため、抗菌や脱臭、大気浄化に対しても優れた効果が得られる。この新型光触媒をアクリルバインダーでガラス板に塗布した試料を用いて、JIS試験法に準拠しNOガス(1ppm)を常時流し、NOx浄化効果を調べた結果が図3。

紫外線の光照射によりNO濃度が急激に減少して約90%という高い除去率が得られた。そして、光照射を停止することにより光触媒の反応が止まり、NOガス濃度が上昇して元の濃度に戻ることも確認できた。

図3. 新型光触媒によるNOx除去効果

続いて黄色ブドウ球菌に対する新型光触媒の抗菌効果を試験した結果を表2に示す。表2に示すように、白色蛍光灯の光照射により黄色ブドウ球菌の菌数が8時間後に10万分の1近くに減少し、この測定値からの計算により抗菌活性値が4.8となった。抗菌活性値が2.0以上(99%以上の死滅率)で抗菌効果があると定義されているので、今回の数値4.8は新型光触媒が優れた抗菌効果を有していることを示した。

表2. 新型光触媒の抗菌効果

対象菌 黄色ブドウ球菌
光照射下8時間培養後の生菌数 <10
暗条件下8時間培養後の生菌数 1.8×10
抗菌活性値 4.8
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